消閑私記 早苗月 2020
なんという事でしょう。
緊急事態宣言が解除されても、フラワーセンターは8月末までお休みとのこと。
もちろん、一番無念なのは職員の皆様でしょうから、決定に異議があろうはずがありません。
が。
リモートワークと外出自粛で全く植物鑑賞が出来ていないので、正直ネタがありません。
という訳で。
自粛中に読んだ本・見た映画などを紹介したいと思います。
百姓貴族
著者:荒川弘
先頃、鬼滅の刃の作者が女性だったということで話題となっていたようです。
が、
ワタクシとしてはこの作者が女性だったことを知った時の衝撃の方が上でした(ちなみに鬼滅の刃は未読です)。
ともあれ、百姓貴族は作者のご実家のお話を漫画にされているものです。
いわゆるエッセイ漫画というジャンルになるでしょうか。
なんとも言えない秀逸なタイトルだと思いますが、中身を読めば、タイトルとは逆方向に吹っ飛ばされる感が致します。
貴族といえそうな空気感も……あると言えばある、とは思うのですけれども。
まぁ、荒川一家の実体験を元にした漫画ですので、農業な日々のお話がメインです(当たり前ですが)
読後は、農業に限らず一次産業の皆様はかくも厳しく逞しく日々暮らしておられるのだな、と感慨深くなること請け合いです。
なかなかシビアなお話も出てきますので、心穏やかにという時にはおすすめ出来かねますが、農業などに転職を考えておられる方には是非とも最初に読んで頂きたいもの。
この強く逞しい精神性は見習いたいですが、軟弱な身体、ひ弱な精神に加え引き籠り属性持ちなワタクシなどは無理だな! としかなりませんデシタ。
あとはスーパーに並んでいる食品を見て、感謝の祈りを心の中だけで捧げるようになったりもしました。
ワタクシ意志薄弱なので、あっという間に忘れがちになるのですが。
生協の白石さん
著者:白石昌則、東京農工大学の学生の皆さん
話題になって本に纏められたのは随分と前の2008年ですが、自粛中で下向きになる気持ちをスッキリ笑い飛ばすのには有難かった一冊。
生協の一言カードに返される、温かみと抉るような鋭いツッコミが織り交ぜられた返信が載っている……だけ、といえば、それだけの本なのですが、本当にホッと笑いが零れるのです。
面白い返信を引き出してやろうという学生の皆さんの大喜利めいた雰囲気もありつつ、返信に時折混ざる清々しいまでのダイレクトマーケティングや、ちょっとした交流めいたやり取りまで、小さくクスッと笑える空気まで伝わってくるようで、疲れた時にも良い感じで読めます。
紙媒体スキーとしては、パッと開いたページだけ読む、という籤引きめいた読み方も出来るのが楽しいです。
こんな風に洒脱な返信ができるとイイなぁ、とは思うものの、やはりセンスという壁は分厚く高いものですよね……。
また、本に紹介されているのは、面白いと思わせるごく一部かと思われます。本には載せられなかったであろう膨大な「普通の」返信。そういう積み重ねも、センスを磨くにしろ語彙力を鍛えるにせよ大事なのだろうと思います。
そうしますと、根気の足りない根性無しなワタクシなどは、他人様のセンスあるテキストに脱帽しつつ読むだけで終わる日々なのです。
さて最後は、映画から。
翔んで埼玉
原作者の漫画自体は何作か読んでいたのですけれど、こちらの原作は未読なまま。
別映画を見に行った時に予告編が流れてまして、興味はあったのです。
が、結局は映画館では観ずに、この度アマプラに配信されてたので見てしまいました。
感想としては、よく映画化出来たな! でしょうか。
いやまぁ、地元愛がこれでもかと溢れているからこそ受け入れられるのだろうということは分かります。
そりゃもう痛いほど。
それにしても……いや、ホントに凄いな。という。
あと、微妙に現実が混じる部分の有名どころの使い方が、無駄に豪華ですね!
この辺はCMやら予告編を見た方ならお分かりかとは思うのですが、ああいう自慢はしたくなるものですよね。決戦の場というのに、酒場で管巻いてる感が凄い(褒めてます)
この酒場で管巻いてる感が、映画の中での現実であろう親子の部分でもあると思います。
この親子の現実と、ラジオドラマのファンタジーが入り混じる感は、原作者の作風もあるのかなと、原作を読みたくなってしまっています(現状未購入)。
メディアミックスとしては、この「原作も読みたい」或いは、「別メディアになった作品があるなら見てみよう」と思わせたのなら、大成功だとも思います。
つまり、とても面白い映画でした。
埼玉の人も、東京の人も、それ以外の地域の人も楽しめるだろうと思われるので、出身気にせずにご覧になってみてください。
その際は出身が違う方と是非。見終わった後の感想(出身地合戦)が、楽しくなるのではないかと思います。
来月は、緊急事態宣言解除後のアフターコロナ初月。
流行の第二波がくるのでは、という恐れもありつつですが、以前とは若干違っているとはいえ日常が戻ると良いですね。